心因性発声障害

声に関する症状 1-7

p.4「心因性しんいんせい発声障害」

 心因性発声障害は、その名の通り「心が原因」です。医学的には精神疾患に分類されます。ストレスを感じている精神状態や、特定の場面などで上手く発声ができない状態です。これに関しては一般的に「自信の無い状態」や「萎縮した状態」の中で発声することになるため、力が入らない「弱々しい/無力むりょくせい性嗄声」が見られます。大まかな改善策は「まずは精神面での回復をし、ポジティブ・エネルギッシュに歌えるようになる」ことになります。これを「歌や音楽をしている状況下」でもう少し詳しく考えてみましょう。
1、発声のバランスが崩れて、歌えていたところが上手く処理できなくなったケース
 その箇所に差し掛かると、その失敗経験から「また同じように失敗するかもしれない」という意識が働き、各器官が必要な動作をしなくなったり、その失敗した時の発声動作を繰り返したりします。対処法は、正しい発声によって上手く処理できた経験を重ね「何回やっても成功する状態」を作るしかありません。これにはまず、発声理論に基づいた正しい感覚の発声動作が必要になりますので、「どこが悪くて崩れていて、改善するには何をすればいいか」が自分で分からなければ分かる人に聞きましょう。発声は色々な筋肉や感覚が芋づる式に繋がってバランスを保つものですので、どこかがほつれると全体がほつれてぐじゃぐじゃになりやすいものです。
2、上手く歌えていると思っていたが、自分自身や歌に対する自信が無くなったケース
 これに関しては「自信を取り戻す」しかありません。自分自身や歌の存在意義を見つける努力をしましょう。その時、他人に評価してもらって自信を取り戻すか、自分自身の中で考えや価値観を改めて自信を取り戻すか、それによって必要な行動も変わるでしょう。
3、もともと上手く歌えていないと思っていて、自信が無くて歌えないケース
 この場合は一つひとつできることを増やしていくことで、スキルと共に自信も付けることができます。歌や表現の個性は様々ですが、基本的には声量たっぷりに歌えるようにトレーニングしておくと、ポジティブなエネルギーも生まれやすくなると思います。
 一般的な症状に対する改善策を示しておきます。「萎縮した状態」や「様子見をしながら歌う状態」では、まず、顎や唇の動きが停滞して動作が小さくなります。そのネガティブな要素を振り払うように、顎は落として開き、耳横のくぼみができる状態まで「ぐわっと」動かしながら歌うように心がけます。それと一緒に、唇は前方方向に伸ばそうとする動作をベースにして、各母音や子音を発声・発音していきます。表情筋も引き攣るひきつることが多くなりますので、こめかみを上げるようにして表情筋も伸ばしながら使うように心がけます。こめかみを上げれば、その内側にある口蓋筋こうがいきんの働きが刺激され、喉声にさせない正しい発声に繋がっていきます。音色・響きの調整は二の次です。まずは心身共にポジティブに歌えるようにしましょう。

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