喉仏の上がり過ぎを治そう
この記事は、VocalMagazineWebにて公開している連載、第12回:「喉上げ声」の治し方を徹底解説!【歌声が詰まる原因 part2/6】の補完記事となっています。トレーニングメニューは【VMW版】にて紹介しています。
”キンキン声”や”平べったい声”
いわゆる”キンキン声”や”平べったい声”は、喉仏が上がることによって起こる発声の問題です。でもこれには色々条件が付きます。
喉仏の上がり過ぎは完全悪ではない
まず大前提から申しますと、”喉仏は上がっていても良いもの”です。喉仏が上がっていると”浅い声”になることから、それ自体が悪いことのように思われがちなのですが、”明るい声”や”軽い声”、”かわいい声”なんかは喉仏をある程度上げていないと作れません。ではなぜ悪いイメージを持たれるのか?、何が問題になるのか?……この点からまず説明しましょう。
喉仏が上がっている+突っ張ったらそれは悪
喉仏が上がっていて”悪”なのは、”喉仏を上げるための筋肉が過剰に働いて突っ張っているとき”に限った話です。喉仏が上がっていたとしても、そこに無理な力が加わっていなければ何の問題もありません。まずこの点を押さえましょう。それを踏まえた上で、”キンキン声”なんかは過剰な緊張を含んだ問題のある発声として表現されることが多いです。”平べったい声”なんかは特別過剰な問題はないにせよ、”深みのある声”と比較されて”未熟な発声”と捉えられることが多いのではないでしょうか。
そもそも「喉声」として混同されている
第11回では「ノド詰め声」を、今回の第12回では「ノド上げ声」を扱っていますが、これらは区別されずに「喉声」としてまとめられることも多いです。なぜかと言えば、声帯を閉じ過ぎた”喉詰め声”と、”喉仏を上げ過ぎた”喉上げ声”の症状が一緒に現れるケースが少なくないからです。なので、喉仏が上がっている状態の声を無条件に”喉声”として感じてしまう場合が多いようですね。
簡単な呼び方 | 喉声 | |
---|---|---|
一般的な呼称 | 喉詰め声・喉絞め声 | |
厳密に分けると? | ノド詰め声 | ノド上げ声 |
部位を特定 | 声帯詰め声 | 喉頭上げ声 (喉仏上げ声) |
本来はこのふたつの症状は全く別の問題として切り離してコントロールするべきだし、コントロールできるものです。喉仏が上がっていても声門閉鎖が強くなければ優しい声にも聴こえるし、逆に喉仏が下がっていても無駄に力んだ声になる場合もあります。
これら「ノド詰め声」と「ノド上げ声」の症状が同時に現れたときの発声は、より”苦しそう”に聴こえますので、症状をしっかりと区別をして、どちらかでも先に問題解決してあげましょう。
しつこいけど「ノド」クイズ!
さて、「ノド詰め声」と「ノド上げ声」について、先述ではそれぞれの「ノド」がどこの器官のことなのかを文章中でサラッと触れましたが、読者の皆さんにクイズです。
「ノド詰め声」と「ノド上げ声」の「ノド」とはそれぞれどこでしょう?
これに答えられなかった人は、このままボイトレを進めると高確率で発声迷子になります!「喉/ノド」という言葉を使う危険性については以下の記事をご参考ください。
【完全版!】悪魔の言葉「喉/ノド」
「声帯詰め声」と「喉頭上げ声」と動き
先ほどの『「ノド」がどこの器官のことなのか?』クイズに答えを出しつつ言い換えると、「声帯詰め声」と「喉頭上げ声(喉仏上げ声)」が正解です。(”のどぼとけあげごえ”は語呂が悪いので”こうとうあげごえ”と呼んでいます。)
喉頭(喉仏)の中に声帯があるので、両者を区別しづらいかもしれませんが、声帯は水平/横/左右方向の動きで、喉仏は垂直/縦/上下方向の動きになります。エレベーターに例えると、扉部分が声帯で、箱?入れ物?部分が喉仏だと思うと良いでしょう。
エレベーターのイラスト準備中
喉仏を下げるとどんな声に?
喉仏を下げると、一般的に”深い声”や”太い声”、”暗い声”や”重い声”になります。なぜかと言うと声が響くための空間(声道)が広がるからです。(ちなみに、ここに4つの声色イメージを並べましたが、ウィスパーボイスの吐息量の調整(≒声門閉鎖の調整)をすると4色それぞれ作り分けすることができます。)
それから、その広げた空間に響きを充満させることができれば”ウェットな声”にすることができます。(これを「共鳴」と言います。)
喉仏を下げるトレーニング
それでは、喉仏を下げるエクササイズは【VMW版】に戻ってご確認ください(‘ω’)ノ。