日本語は歌いづらい!外国語はボイトレ向き

鼻音は仲間外れにされがち

 この記事では日本語と外国語の発音・発声における特徴を、「鼻音」に焦点を当てて解説します。

鼻音が重要になる理由

 「VocalMagazineWeb」にて連載中の「声区シリーズ」で取り上げてきましたが、多くの人にとって鼻音は重要な存在となります。その理由は、

・鼻音が心理的に避けられやすい
・鼻音成分は一般的な声区表には組み込まれない

 これによって、特に日本人にとって鼻音がボイトレのメニューから抜け落ちてしまい、特にミックスボイスの習得の落とし穴になっている現状があります。そして鼻音が重要になる理由は他にもまだあり、それは日本語という言語が持つ特性によるものです。

鼻音が重要な理由:日本語の特性

・日本語の母音の位置は発声しづらい
・つまり日本語は鼻にかけづらい
・最近の若者は鼻にかけない

 これでもか!ってくらいの存在感の無さ、もはや鼻音がかわいそうです(笑)。


日本語の特徴

日本語と鼻音

 そもそもの日本語が持つ特性なんですが、日本語の「母音」は数が5つ、と諸外国語より少なく、舌の位置の関係で「イ・ウ・エ」は鼻にかけづらいんです。特に「イ・ウ」は裏返りやすい母音として知られていますが、それはこれが理由の1つです。「鼻にかける」ことの重要性についてはこちらの記事まとめをご覧ください。
記事まとめー「鼻音」「軟口蓋の上げ下げ」について

 なので標準発音の日本語の響きを美しく&聴き取りやすく歌おうとすると、これがまぁ歌いづらい!これはクラシック界でも良く言われている話です。日本人なのに、イタリア歌曲やドイツ歌曲の方が歌いやすいと感じる人が多く存在します。

 そして近年の若者は非鼻音化が進んでいるようで、これも一因の1つとなっているでしょう。

外国語の特徴

 じゃあ外国語発音はどうなんだ?というと、実は鼻音に限らずボイトレに有利な発音が自然とたくさん含まれています。英語・韓国語・中国語の発音を少し勉強しましたが、日本語の不利さに愕然としたほどです。

外国語とボイトレ成分

英語とボイトレ

 例えば英語は「あいまい母音」と言って、舌が中央に位置する発音が存在します。それに対して日本語は、地方訛りによってはそういった発音が存在したりするものの、標準語の発音は「ア・イ・ウ・エ・オ」の舌の位置は諸外国語と比べて極端な位置に配置されています。これによって各母音によって発声の感覚がかなり違うものになってしまうために、総じて歌いづらい言語と言えるのです。

韓国語とボイトレ

 韓国語の大きな特徴と言えば、鼻音3兄弟の「m/n/ng」が明確に認識されていることです。使用文字であるハングルによって、英語同様にこれらを表記する方法が分かれています。日本語はこれらは全て「ん」と表記されることから、日本人はこの鼻音3種類を聴き分ける能力が身に付かず、それによって当然ながら歌う時にも使い分ける感覚が鈍くなります。発声で一番重要なのは「ng」です。

中国語とボイトレ

 中国語に関しても、明らかにボイトレでいうところの「共鳴」を作る発音が存在します。全体的にも鼻音が強めに聴こえるサウンドと言えるでしょう。普段の発話で共鳴や鼻音の練習してたら、そりゃ歌の発声にも有利です。

外国語と鼻音

 さて、ここで出てくるのが洋楽界の「ネイザル」「トゥワング」です。前者は「鼻音そのもの」、後者は「鼻音生成の感覚」=「軟口蓋の引き合い」という説明になります。これについては連載本編でご確認ください(。-`ω-)。

第59回:「ネイザル」と「トゥワング」全部説明できます。~ハードミックスの完成へ~

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