4.3. 学習障害/LD

4. 発達障害

3. 学習障害/LD

 「学習障害(LD:Learning Disability)」は、IQは70以上=知的障害ではないが、特定の分野での学習が困難な症状です。音楽の学習においては「問題になることもあるが、無視することもできる」と言えます。それは、音楽というものが「最終的には感覚が重要になる性質を持つ分野」であるために、必ずしも論理的な学習を必要ないという側面があるからです。音楽的感覚が優れていればさえ言語でのコミュニケーションは必要ありません。勉強はできなくても、音楽を深く感じ取って、自由に表現できればそれで成り立ちます。ですが、やはり音楽には理論的な思考が必要な場面が多いです。

学習障害と音楽

 学習障害は、文字の読み書きや算数など、色々な形で障害が出るようですが、音楽自体は、緻密な数学の上に成り立っています。真ん中のラ=440Hzヘルツの1オクターブ上のラは880Hzなど。だから理論を勉強しようとすれば必ず数学的な側面が出てきます。理論が強い人はコードも早く覚えるし、音楽全体を理論的に把握できるので演奏も理知的になります。それから、絶対必要だなぁと身に染みて感じるのが「空間認識くうかんにんしき能力」です。ピアノを弾くときには複数の音の配置を指の形も含めて把握する時に必要だし、歌においても、今自分がどの音程を歌っているか、どの拍の上にいるか、リズムはどうなっているかなどを判断するのに、立体的な縦横の把握能力が必要になります。学習障害にはこれが苦手な人も多く見られ、直感的に音感・リズム感が良い人は問題になりませんが、音感・リズム感を訓練する段階になると、もともとそんなに悪くない人でも、矯正にだいぶ苦労する状況があります。空間認識能力が乏しいと「線を真っ直ぐ書けない」などの症状が見られますが、リズム感が良い人は、リズムとリズムの隙間にピタッと入る感覚を持っています。ピタッと線が書けない人は、周りで鳴っているリズムの境界線を認識できずにはみ出して線を書いてしまうのでリズムもズレてしまうのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

名称 *
メールアドレス *
ウェブサイト