1.7. 「発声障害」の色々と分類

声に関する症状 1-7

p.1「発声障害」の色々と分類

 筋肉の過剰緊張で声が詰まった感じがする「喉詰め声のどづめごえ」や、息が漏れてしまう「気息性嗄声きそくせいさせい」、声の震えや裏返りなど…症状は似ていますが、発声障害の原因や分類は様々あります。

ボイトレで治る「癖」と病院でしか治せない「病気」

 発声障害はまず大きく2つに分類されます。1つ目機能性きのうせい発声障害」は、身体/各発声器官に異常が無いのに発声に問題がある状態です。つまり「発声方法に悪い癖が付いているだけ」なので、シンプルに言えば「ボイストレーニングで治せる」ということになります。「病気としての発声障害と区別を付けるために機能性発声障害という診断名を付けていて、病院での治療ではなくボイトレで改善をすることができる。」と思っていて大丈夫です。(病院でも言語療法士さんが対処してくれるかもしれませんが、僕がこの状態で病院にかかった時には家に返された経験があります。)
 発声の問題は、ずっと治らないと「どこか身体に問題があるんじゃないか…」と思えてくるし、そう思いたくなってしまうんですが、意外とパッと治ったりもします。僕も実際にレッスンした中で「この生徒さん、ボイトレだと治らないかもなぁ」と病気の発声障害を疑ったケースが何人かいましたが、皆さん1回~数か月で改善しました。運よく機能性発声障害だった、と言うことができます。「色々試したんですが…」という中にも思い込みで間違えた発声をしている場合は良く見られます。精神的に悪い状態が招く発声障害もこちらに分類されます。
 ただ気を付けるべきことは、この「悪い癖」の状態で発声を続けてしまった結果、鍋の焦げのように癖がこびり付いて日常会話にも影響が出たり、以下の「病気」の状態になってしまう可能性があり、何事も程度問題ということです。逆に、最初は「病気による発声障害」の診断でも、手術をせずに回復した場合は「機能性発声障害」に診断名が変わる仕組みがあり、この境目は曖昧な線引きになっているようです。

 2つ目、身体/各発声器官に問題があるものは「器質性きしつせい発声障害」と言います。「病気による発声障害」です。声帯結節やポリープも声帯が傷んでいる状態ですので器質性発声障害に分類されます。が、声帯の外傷ではなく神経回路の異常で現れる病状もあり、これは厄介です。これに関してはボイトレではまずどうしようもない範囲です。注射や手術で治療しつつ音声治療(ボイトレの医療版)もするような形だと思ってもらっていて良いと思います。精密検査でもして明らかな異常が見つかれば、症状はすぐ特定できたりするでしょうから、いきなり病院にかかるのも良いし、状況によってはまずは街のボイトレに通ってみるのも良いかと思います。
 「ボイトレ」と「音声治療」は、やることは「発声を良くすること」で変わりありませんが、前者はボイストレーナーがやることで、後者は言語聴覚士げんごちょうかくしがやる医療行為です。「機能性発声障害」はボイトレで間に合いますが、「器質性発声障害」はボイトレだけでは当然改善しません。次から各発声障害について詳しくまとめてみました。


「機能性発声障害」

→悪い歌い癖によるもの

p.2 筋緊張性きんきんちょうせい発声障害
p.3 変声へんせい障害(声変わり)
p.4 心因性しんいんせい発声障害
p.5 「機能性」まとめ

「器質性発声障害」

→身体や神経系の病気

1-2 結節けっせつ/ポリープ/よう声帯
p.6 痙攣性けいれんせい発声障害
p.7 本態性ほんたいせい音声振戦しんせん
p.8 「器質性」まとめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

名称 *
メールアドレス *
ウェブサイト